2014年5月25日日曜日

寝汗やアトピーにも黄耆建中湯

今回は黄耆建中湯(おうぎけんちゅうとう)です。
この処方は小建中湯という漢方薬に黄耆と言う生薬を加えたものです。黄耆という生薬は気の働きを高める効果があります。つまり元気が出て疲れにくくしたり、感染症などに対する防御力を強くしたり、皮膚を丈夫にしたりする作用があります。
いつものようにOTC薬の効能効果を見てみると“体力虚弱で、疲労しやすいものの次の諸症
虚弱体質、病後の衰弱、ねあせ、湿疹・皮膚炎、皮膚のただれ、腹痛、冷え症”とあります。このとおりで良いと思います。大切な前提としては“疲れやすくて冷えやすいことです”
とくに、寝汗と皮膚関係の症状で飲む方が多いのではないかと思います。




黄耆建中湯を購入する上で注意が必要です。
先に書きましたとおり、黄耆建中湯は小建中湯に黄耆を加えたものです。
内容としては小建中湯(ケイヒ、ショウキョウ、タイソウ、シャクヤク、カンゾウ、膠飴)にオウギを加えたものです。しかし、残念なことにこの通りの内容になっているものは、確認できた範囲では小太郎漢方の黄耆建中湯エキス細粒Gだけでした、他のメーカーのものは膠飴が入っていません。膠飴とは水飴のことで、一日分で10〜20g使います。エキス剤にした場合にかさが増えますし、粘稠性で扱いにくいので加えていないのだと思います。膠飴が入らないと、少し芍薬が多く入った、全く別の処方である桂枝加黄耆湯になってしまいます。ご購入の際にはご注意下さい。
それから、残念ながら小太郎漢方の製品はネットでは販売されていないのでお近くの薬局に問い合わせると良いかと思います。
小太郎製薬株式会社


寝汗や皮膚の症状でお悩みの方! 
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  秀峰堂中学研究所漢方相談室

2014年5月20日火曜日

のぼせとイライラがあれば加味逍遥散

今回は婦人科症状によく使われる加味逍遥散(かみしょうようさん)です。
加味逍遥散と当帰芍薬散、桂枝茯苓丸を一緒に並べて生理不順、生理痛、冷え性、更年期障害の漢方薬として論じられることがよくありますが、実際に比較して選ばなければならないほどの共通点はありません。どれも全く違った方向性、薬向を持っていますので、一般の方でも簡単に使い方がわかるはずです。
当帰芍薬散を使う場合の目安は浮腫みです。冷えがちで疲れやすく浮腫むこと、この3つが揃わない限り当帰芍薬散は使いません。
桂枝茯苓丸は、瘀血という状態を改善します。瘀血についてはこちらを参考にして下さい。瘀血が主な症状、原因であるのであれば体質問わず桂枝茯苓丸を使ってかまいません。

さて、本題に戻り加味逍遥散です。
加味逍遥散のキーワードは肝気鬱結と虚熱です。聞きなれない言葉だと思いますので、先にいつものようにOTC薬の効能効果を見てみましょう。“体力中等度以下で、のぼせ感があり、肩がこり、疲れやすく、精神不安やいらだちなどの精神神経症状、ときに便秘の傾向のあるものの次の諸症:冷え症、虚弱体質、月経不順、月経困難、更年期障害、血の道症、不眠症”とあります。
まず“体力中等度以下”、適切な表現ではありません。疲れやすい、あるいは体力低下状態と理解して下さい。“のぼせ感”、これが重要なポイントです。本質的には暑くないんです。この場合は虚熱という嘘の熱を感じてのぼせたり、火照ったりしています。この熱は陰陽バランスの崩れのために生じています。子供の頃に、大人になってもあるかもしれませんが、遊びすぎて疲れきり手足が火照ってなかなか寝付けなかったことはないでしょうか、これは体は消耗して弱っているのに気持ちが高ぶってしっかりしているために、体よりも元気な気持ちが熱として表れている状態です。これを治すには、冷やすのではなく体を元気にしてあげなければなりません。



つぎに“精神不安やいらだちなどの精神神経症状”。これが2つ目のポイント肝気鬱結です。
精神的な問題は肝で処理していると考えていますが、その肝での気の流れが滞ってしまっている状態です。肝が健やかであればイライラや不安、不眠などは殆どありません。
肝気鬱結の生理への影響は、生理が来る前の生理痛、精神症状、いわゆるPMSですね。それと生理周期は早まることが多いです。
また肝気鬱結で起きる症状自体が更年期障害とも重なります。
まとめると、加味逍遥散は疲れやすく、体力が低下し火照りやのぼせを感じ、イライラや不安・不眠などの精神症状を伴う人の生理不順、月経前緊張症、更年期障害などを改善します。ちなみに虚熱があれば男性の更年期的な症状にも用います。


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2014年5月12日月曜日

温経湯

今回は温経湯(うんけいとう)です。
婦人科向けの方剤ですね。生理不順や閉経期の体調不良といったことに使います。
いつものようにOTC薬の効能効果を見てみましょう。“体力中等度以下で、手足がほてり、唇がかわくものの次の諸症:月経不順、月経困難、こしけ(おりもの)、更年期障害、不眠、神経症、湿疹・皮膚炎、足腰の冷え、しもやけ、手あれ(手の湿疹・皮膚炎)”とあります。体力云々はいつものことなので触れません。体が弱っている体力が低下している事が前提となります。全身的に体が冷えている方向にある人に用いるので、手足のほてりというのは強調して書かれるべきではないでしょう。貧血が進んでいるために‘血虚・陰虚’の状態にあるために虚熱として、偽りの熱・ほてりを感じることがあります。そこに拘るとこの処方を使う人はかなり限定されてしまうでしょう。煎じ薬であれば手足のほてりがない人には麦門冬、牡丹皮を減量することも可能ですが、このままでも問題無いです。
重要なのは冷えていることと乾燥していることです。


温経湯を用いるのは一定以上の貧血、量的あるいは質的な意味でも血の状態が悪い場合です。そして、むくみなどは無い、皮膚が乾燥し唇も乾きやすい燥証状態の人に適します。
温経湯を用いる生理不順は、生理が遅れがち、あるいは長い期間生理が来ない。おりものが多いと言ったタイプです。効能には皮膚炎やしもやけ・手荒れなどがありますが、あくまで生理不順に陥った原因に付随するものですのですので、生理不順、冷え、貧血傾向がなければ“不眠、神経症、湿疹・皮膚炎、しもやけ、手あれ(手の湿疹・皮膚炎)”と言った症状は治療対象になりません。

もう一つ、温経湯はよく不妊治療に用いられているようですが、この処方単独では無理です。補血は重要な不妊治療の要素ですが、少なくとも補腎が同時に行われない限り効果はありません。また、余談ですがこの補腎目的で八味地黄丸を温経湯や当帰芍薬散と併用して不妊治療をしようと処方する病院もみかけますが、妊娠を望む人に附子剤の長期使用はいかがなものかと思います。

漢方薬を有効に使いましょう
秀峰堂中医学研究所

2014年5月6日火曜日

茵陳五苓散:二日酔いですね

今回は茵陳五苓散(いんちんごれいさん)です。以前に茵蔯蒿湯については書きましたが、効果・効能としてはほぼ同じです。違いは、茵蔯蒿湯実証(余分なものが付いているために病気になっている)の人に使い、茵陳五苓散虚証(足りないものがあるために病気になっている)の人に用います。実証・虚証の見分け方は八綱弁証を参考にして下さい。
さて、いつもの様にOTC漢方薬の効能効果を見てみますと体力中等度以上を目安として喉が渇いて尿量が少ないもののじん麻疹、二日酔、浮腫み、嘔吐の諸症とあります。
体力云々に関しては相変わらず意味不明です。先にも書いたように茵陳五苓散は虚証に用います。つまりその人の体力が低下している状態、あるいは体力が低下しやすい、つまり疲れやすい人に使います。体が衰弱していれば病気の目安になりますが、体力があることが病気の目安になることはあり得ないでしょう。
あえて言えば茵陳五苓散は体力低下が低下している人に用います。

つぎに、“のどが渇いて尿量が少ない”これはとても大事なポイントです。茵陳五苓散という漢方薬の最大の効果は体内の不要な水を排泄させる作用です。尿が思うように出ない状態、体の中に湿気が溜まっている状態です。一番わかり易いのは二日酔いの状態です。日本酒でもワインでもお酒はみんなアルコールです。ですが実際はほとんど水です。このアルコールの混ざった水を散々飲んだために処理しきれなくなり体の中が水浸しになっているのが二日酔いです。下からでなければ上からだそうとする。これも普通の生理現象かもしれません。水浸しなのに何故尿が出ないのか、これはアルコールの混ざった水を大量に飲んだために、相対的に体の中のきれいな水の比率が減り、水分不足と体が判断してしまい尿が出にくくなっています。また水不足と勘違いしているので喉も渇きます。
喉の渇きにはもうひとつ熱証という要因があります。熱証については先述の八綱弁証を参考にして下さい。効能効果にも熱証の要素はもう少し書いたほうが良いでしょうね。暑がりとか、のぼせ、手足のほてりとか、、、

本来は茵陳五苓散という薬は肝炎や胆石・胆嚢炎などで用いるもので、黄疸がひとつの目安になっています。今の日本で黄疸が出てる状態でドラッグストアや薬局に漢方薬を買いに行く人は少ないと思います。実際の利用としては、二日酔いに一番いいですね。肝臓の熱も冷ましてくれます。飲む前に飲んでも良いのですがトイレが近くなるので注意して下さい。蕁麻疹にも有効ですが、梅雨時から夏に向かう頃でしょうか、湿度と気温が高い時期は茵陳五苓散が向くかもしれません。寒冷蕁麻疹や原因がはっきりしている蕁麻疹は他の方法を考えて良いでしょう。

もう一点、茵陳五苓散を発売しているメーカーは少ないようです。小太郎漢方で出てはいますが、メーカーの方針でネットショップでの販売を禁止しているようです。漢方薬を扱っている店に直接問い合わせてみてください。