2013年12月15日日曜日

かさかさ皮膚炎に当帰飲子

今回は当帰飲子(とうきいんし)です。
湿疹・皮膚炎のお薬ですね。いつものようにOTC薬の効能効果から見てみますと、“体力中等度以下で、冷え性で、皮膚が乾燥するものの次の諸症:湿疹・皮膚炎(分泌物の少ないもの)、かゆみ”とあります。体力が中等度とか体力があるとか、漢方薬の効能によく書かれていますが、体力というのは個人差が大きいものだし、病状を示すのに体力があることを前提にするのはかなりおかしな話です。体力がないと飲めないほど危険な薬ということになってしまいますよね。これは病気と病人の抵抗力との関係である病勢(実・虚)を表現しようという意図なのでしょうが、体力云々で説明しようとするのは無理があります。
今回の当帰飲子の場合は虚証用のお薬ですので、対象となる人は疲れやすく、食は細めで、痒いところを掻くと気持ちが良いといったことが特徴になります。
そして、冷え性は治療対象ではなくて当帰飲子を使う前提ですから、冷えがち、あるいは寒がりといった表現のほうが良いでしょう。



当帰飲子を使うべき人の際立った特徴は貧血です。血が量的にあるいは質的に不足しているために皮膚を滋養できず、かさかさと乾燥しています。
当帰飲子の構成生薬の大半は血を作り血を綺麗にする作用を持ちます。皮膚は内側から常に血流により滋養・滋潤されています。血の質が悪くなれば、その影響は真っ先に皮膚に現れます。もともとはお年寄りの皮膚掻痒症に使うことが多かった処方ですが、現代では、特に冬場は乾燥しやすい環境で過ごす時間も長く、食事の変化から栄養バランスが崩れ冷えがち、貧血気味の人も多いようです。当帰飲子は冬場のカサカサ痒みには試してみると良い処方かと思います。
効能をちゃんとまとめると“疲れやすくて、寒がりで貧血気味の人のカサカサと皮膚が乾燥した湿疹・皮膚炎・かゆみ”となります。

2013年12月10日火曜日

竹茹温胆湯

今回は竹茹温胆湯(ちくじょうんたんとう)です。
基本的に竹筎温胆湯は風邪薬として使うお薬です。いつものように0TC薬の効能効果を見てみましょう。“体力中等度のものの次の諸症: かぜ、インフルエンザ、肺炎などの回復期に熱が長びいたり、また平熱になっても、気分がさっぱりせず、せきやたんが多くて安眠が出来ないもの”とあります。毎度のことですが体力云々は意味不明ですので無視して下さい。体力はあるに越したことはないでしょうし、体力がなければ病気しやすいだろうし、まして中等度って何でしょうね?

余計な事はさておき、かぜ、インフルエンザ、肺炎などの回復期に・・・・。簡単に言ってしまえば初期治療に失敗して風邪をこじらせ長引かせてしまった時に使うのが竹筎温胆湯です。


初期治療の失敗と言っても二通りあります。もともと陰虚で虚熱を感じている人などは風邪の熱がなかなか抜けず、微熱が続き治りにくい傾向にあります。普段から疲れやすく痩せて手足のほてりを感じやすい人は早めに竹筎温胆湯を服用したほうが良いでしょう。
もう一つは完全な誤治です。寒証ではないのに葛根湯などの辛温解表剤を使い、より内部に風邪を追い込んでしまった場合です。

風邪のひき始めだと、それだけで葛根湯や麻黄湯を用いてしまうことがあるようですが、あくまで、はっきりとした寒気がある場合だけ葛根湯や麻黄湯が効きます。ほてりや喉、口のかわきを感じる場合は逆効果になり悪化させますので注意しましょう。
いずれにしても風邪が長引いてしまい、熱がこもったようではっきりしない状態に竹筎温胆湯は効果があります。くれぐれもインフルエンザを治す薬ではありませんので、誤解のないように!


2013年11月25日月曜日

参蘇飲=虚弱な人の風邪に

今回は参蘇飲(じんそいん)です。風邪の漢方薬については以前にもまとめていますが、季節でもありますので、また少し書き足しておきます。
いつものようにOTC薬の効能効果を見てみると“体力虚弱で、胃腸が弱いものの次の諸症:感冒、せき”とあります。
簡潔に書かれているので問題はないようです。ただ少し足りないところがあるので足しておきます。
以前にも暑い風邪・寒い風邪のことは書きましたが参蘇飲は寒い風邪に使います。ただし寒い風邪と言っても葛根湯のように寒冷にあたって急激にひいたわけではなく、もともと寒がりの人が参蘇飲を服用するタイプの前提となります。


“寒がりで胃腸が弱く疲れやすい人のかぜ・咳”としたほうが良いでしょう。
またこの参蘇飲という漢方薬は大変弱い薬です。ですからもともと病気に対する抵抗力・免疫力の強い人には向きません。向かないというより飲んでも何も変わらないと思います。参蘇飲は普段から胃腸や気管が弱く、食欲がなく疲れやすく、いつも痰が絡んでいるようなかた、おおまかに言ってしまえば元気のないお年寄りが一番向いている薬です。
あとは一週間も経つのに風邪が抜けず、軽い寒気と軽い咳が続くようなときに効果があります。若い方の場合だと、治ったと思った風邪が、何となくまたぶり返しているような感じの時に効果があるかと思います。

2013年11月17日日曜日

冷え性に当帰芍薬散?

今回は女性のための薬ということで広く知られている当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)です。実際には男性に使う場面もそこそこあるかなと思います。
さて、タイトルに書いた‘冷え性’ですが、エキス剤(錠剤・顆粒)の当帰芍薬散は効きません。当帰芍薬散は冷え性の薬ではありません。
当帰芍薬散の構成生薬は当帰・川芎・芍薬・白朮・茯苓・沢寫です。この中で温性(体を温める性質)があるのは当帰と川芎ですが、エキス剤の場合は修治していない乾燥しただけの当帰を使っています。修治していない当帰はほとんど温性がありません。芍薬は修治して初めて温性になりますので、この芍薬は冷やす性質を持っています。沢寫は寒性の生薬です。
『当帰に関する考察』=秀峰堂中医学研究所別館
『生薬の修治』=秀峰堂中医学研究所別館



では、当帰芍薬散は何の薬かと、一言で言うなら貧血のお薬ということになります。
肝血の不足(肝血虚)の状態になってしまったために肝の機能が異常になり、その影響が隣の臓器の脾に及び、脾の働きの一つでもある水分代謝の異常が一層ひどくなり、むくみ・めまいと言った症状が起きます。
段々と話がややこしくなってきてしまったので、いつものようにOTC薬の効能効果で整理してみます。“体力虚弱で、冷え症で貧血の傾向があり疲労しやすく、ときに下腹部痛、頭重、めまい、肩こり、耳鳴り、動悸などを訴えるものの次の諸症:月経不順、月経異常、月経痛、更年期障害、産前産後あるいは流産による障害(貧血、疲労倦怠、めまい、むくみ)、めまい・立ちくらみ、頭重、肩こり、腰痛、足腰の冷え症、しもやけ、むくみ、しみ、耳鳴り”とあります。かなり盛り沢山ですが、効かないわけではないけど効能に書くほどの効果はないだろうというのが大半かと思います。
まず“体力虚弱で、冷え症で貧血の傾向があり疲労しやすく、ときに下腹部痛、頭重、めまい、肩こり、耳鳴り、動悸などを訴えるものの次の諸症”この部分は体質に関する前提ですが、ときに以下は治療対象の症状ですので消しちゃったほうが分かりやすいでしょうね。最初の体力虚弱で、冷え症で貧血・・・の貧血も治療対象症状ですから後半に書くべきでしょう。整理すると当帰芍薬散が向いている人の前提は、‘虚弱で冷え性(寒がり)で疲れやすく浮腫みやすい人’です。
治療対象となる症状は貧血がまず第一で、むくみ・めまい・生理痛・生理不順(遅れがちで周期がバラバラな場合)と言ったところに有効です。
他は別の処方を使ったほうが有効でしょうね。
まとめると、当帰芍薬散は“虚弱で冷え性(寒がり)で疲れやすく浮腫みやすい人の貧血・むくみ・めまい・生理痛・生理不順に有効です”
それから、他に体質的に合いそうな処方がなみあたらなければ、耳鳴り・尿量減少・軟便・立ちくらみと言った症状にも効果はあります。
あとは、よく利用されている流産予防に対しては人参を一緒に使ったほうが良いでしょう。不妊・不育に対しては、これだけ飲んでも何ともなりません。
不妊に関しては別の機会に詳しく書くつもりでいます。

2013年11月11日月曜日

水太りって...防已黄耆湯

今回は防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)です。
いつものようにOTC薬の効能・効果を見てみますと“体力中等度以下で、疲れやすく、汗のかきやすい傾向があるものの次の諸症:肥満に伴う関節の腫れや痛み、むくみ、多汗症、肥満症(筋肉にしまりのない、いわゆる水ぶとり)”とあります。
なかなか微妙というか、誤解を招く部分もありますね。まず体力云々ですが、防已黄耆湯は紛れも無く体力低下している人のための薬です。明らかに体力低下、虚弱傾向です。なぜなら防已黄耆湯は体力低下を治す薬ですから。体力低下、虚弱であるためにちょっとした事で汗が出やすい、必要な水を保持できなくて汗が出てしまう。まずこれを治す薬です。ですので多汗症というのは不適当ですね。汗をダラダラかくわけではないです。その場合は全く別の問題となります。

クラシエ防已黄耆湯

防已黄耆湯の効果は元気を出すことと、水分代謝・水はけを正しくすることです。全身的に浮腫みやすいですし、膝にも水がたまりやすいです。「肥満が先か膝の痛みが先か」ではなく、全く同じところに起因しています。
論じるなら「肥満が先か疲れやすいのが先か」でしょうね。これは疲れやすいのが先です。疲れやすい・気力がないためにあまり動かなくなり肥満に向かったのです。そこにもともとの水分代謝の悪い体質が重なっています。
防已黄耆湯の効果は、まず構成生薬の黄耆が元気をつけ、体を動かしやすくしてくれます。このタイプの人は特に運動する必要はありません。普通に動くようにしてください。そして、防已・白朮が水はけを良くして体内の不要な水を尿として正しく排泄してくれます。また防已には膝の痛みを直接緩和する働きもあります。
もともと水分代謝が悪い体質(尿が遠く、むくみやすい)の人で動くのが億劫な人は肥満とと膝痛になりやすいのでお気をつけて下さい!

2013年11月4日月曜日

お中の漢方薬:小建中湯

今回は小建中湯(しょうけんちゅうとう)です。
以前に桂枝加芍薬湯について投稿しましたが、小建中湯は桂枝加芍薬湯に膠飴(こうい)を加えた処方です。処方名からも分かるように「中」、おなかを建てなおすお薬です。
いつものようにOTC薬の効能効果をみてみると“体力虚弱で、疲労しやすく腹痛があり、血色がすぐれず、ときに動悸、手足のほてり、冷え、ねあせ、鼻血、頻尿および多尿などを伴うものの次の諸症:小児虚弱体質、疲労倦怠、慢性胃腸炎、腹痛、神経質、小児夜尿症、夜泣き”とあります。
だいたいこの通りの薬なのですが、‘動悸、手足のほてり、鼻血、神経質、夜泣き’の治療目的、あるいはこの処方を選ぶ目安にしないほうが良いでしょう。
このお薬は典型的な寒虚症用の方剤です。寒がりで体が冷えている人のお腹の症状に使います。


膠飴は水飴、還元麦芽糖のことです。もともと還元麦芽糖はお腹に弱い子供の栄養剤的な目的で用いられていました。小建中湯は桂枝加芍薬湯+膠飴ですから、お腹の弱い強弱な寒がりな子供を丈夫にするためのお薬ということです。
桂枝加芍薬湯と比べての小建中湯の特徴は膠飴の栄養面ということだけではなく、膠飴の湿性にあります。乾燥気味の体に潤いを与えてくれるのです。
お腹が乾いていると便の水分が失われ硬くなり便秘になります。ですから、桂枝加芍薬湯は主に下痢がちの人に、小建中湯は便秘がちの人に使います。
それから体の乾燥、燥性がすすむと寒証の人でも部分的に熱証的な現象をおこします。手足のほてりやイライラ怒りやすくなったりしてきます。ただこれは極端な場合であって、よほど栄養状態の悪い人でない限り起こりません。ですから効能にある熱証の症状(ほてり)や神経性の症状は考慮しないほうが良いでしょう。
まとめますと小建中湯は、お腹の弱い便秘しやすい痩せた子供を丈夫にしてくれます。そして、大人では特に過敏性大腸炎の場合に、下痢が多ければ桂枝加芍薬湯、便秘しやすければ小建中湯を使ってください。
それから、小建中湯は半分以上が水飴ですので甘くて飲みやすいです。また子供用に飴や水飴になったものも販売されています。

2013年10月27日日曜日

風邪の漢方薬のまとめ

今回は風邪向けの漢方薬として販売されているOTC漢方薬の正しい使い分けを知っていただくために簡潔にまとめてみます。
まず漢方薬を使う上での大原則であり漢方診断の入り口でもある八綱弁証について知っておいてください。一般の方でも十分に理解していただける単純な理論です。
一言で言ってしまえば体質・病気の性質の分類です。
冷えているために患った、あるいは冷えたことが原因の病気(寒証)と過剰な熱生産、冷えとは逆に熱が原因で起きている病気(熱証)。それと、不要なもの(邪)がついて起きている病気(実証)と何かが不足しているために罹ってしまった病気(虚証)が基本的なわけかたです。
これを風邪薬に当てはめて。寒実証用・寒虚証用、熱実証用・熱虚証用の処方に分けて説明してみます。

・寒実症用の風邪漢方

これは寒さ(寒邪)にあたって罹った風邪で、ほとんどは引き始めの状態です。
 その特徴として
 ・寒気・鼻が出る場合は水っぽい・関節の痛みなど
 代表的な処方
 ・葛根湯:強い寒気と首から背中のこわばり、食欲があることが必須条件です。
      発熱・身体の痛み頭痛を治します。
 ・麻黄湯:寒気が強く、食欲があることが必須条件です。
      咳・節々の痛み・発熱に効きます。     
 ・小青竜湯:寒気あるいは寒さを強く感じ、食欲が落ちていないこと、
       薄い水っぽい鼻水・痰であることが必須条件です。
      鼻水・咳・喘息発作を鎮めます。

・寒虚証用の風邪漢方

もともと冷えがちの体質の人あるいは体が衰弱気味の時に寒さにあたって罹った風邪です。
 寒実証の風邪を初期の間に治せなかった場合にもなります。
代表的な処方
 ・桂枝湯:寒気があり体がだるく動きたくない、食欲は極端に落ちていない事が必須条件です。
      発熱、怠さに効果があり、高齢者や病弱な人のひき始めの風邪に向いています。
 ・参蘇飲:胃腸が弱く、もともと虚弱な体質で、どちらかと言うと寒気がする。
      症状が強いわけではないが咳や悪寒などが続いている場合に効きます。
 ・香蘇散:寒気、食欲減退が必須条件です。
      発熱・悪心嘔吐・胃腸炎に効きます。
 ・麻黄附子細辛湯:節々の痛み・寒気・下半身の冷えが必須条件。
      寒気のわりに発熱は軽い高齢者の風邪に向いています。
      咳・喉の痛みにも効果があります。
 ・半夏厚朴湯:寒がりであることが必須条件です。
        咳・喉の違和感・声嗄れなどに効果があります。
     

・熱実証用の風邪漢方

主に真冬以外の季節に細菌感染・ウイルス感染による咽頭炎・喉頭炎などによく見られます。
 代表的な処方
  ・麻杏甘石湯:寒気は全くなく暑がり、食欲は旺盛であることが必須条件です。
         熱実証用の風邪薬の基本形です。主に発熱・咳に効きます。
  ・五虎湯:麻杏甘石湯に桑白皮を加え咳に対する効果を強めています。
       食欲低下の人、寒気のする人は絶対に飲まないでください。
  ・銀翹散:寒気はなく熱感強いことが必須条件です。
       喉の痛み・頭痛・発熱に効果があります。

・熱虚症用の風邪漢方

胃腸に風邪が入ってしまった場合、風邪の初期治療を誤った場合がほとんどです。
 代表的な処方
  ・小柴胡湯:熱感があり食欲も低下気味で微熱が続いている事が必須条件です。
        発熱・頭痛・悪心・食欲不振など
  ・柴胡桂枝湯:小柴胡湯に頭痛・腹痛・胃痛など痛みの症状が加わっている時に使います。
  ・麦門冬湯:寒気が待ったことが条件です。
        痰の出ない空咳・喉の乾燥に効果があります。
  ・辛夷清肺湯:寒気がない事が条件です。
        粘りの強い鼻・鼻づまりに効果が有ります。
  ・竹茹温胆湯:寒気はなく風邪が長引き熱がこもってしまったような場合に使います。
         いわゆるこじれた風邪・長引く咳や微熱・怠さといった症状に使います。

2013年10月20日日曜日

しもやけの漢方薬:当帰四逆加呉茱萸生姜湯

今回は当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)です。
舌を噛みそうな長い名前です。いつものようにOTC薬の効能効果を見てみましょう。
“体力中等度以下で、手足の冷えを感じ、下肢の冷えが強く、下肢又は下腹部が痛くなりやすいものの次の諸症:冷え症、しもやけ、頭痛、下腹部痛、腰痛、下痢、月経痛”とあります。体力中等度は無視してください。表現としても適切ではないですね、中ぐらいの体力で何か問題があるのでしょう?また体力はないと飲めないような危険な薬なのでしょうか・・・
体力云々が治療と対象となるのは体力が著しく低下している場合だけだと思います。また、広い意味で体力を体の状態として理解するなら、この処方の場合は体力が低下している時に必要な薬です。特に血の量的あるいは質的な低下がこの当帰四逆加呉茱萸生姜湯を用いる前提となります
手足の冷えそのものがこのお薬の治療対象になります。それも寒い季節の手足の冷えです。まれに手が冷たいと人に言われたから私は冷え性ですという人がいますが、あくまで自分でどう感じているかです。自分で手が冷える足が寒いと感じているかということで他人が触れてどうこうは関係ありません。漢方薬を飲む際は必ず自分自身の感覚を再重要視してください。



整理しますと、当帰四逆加呉茱萸生姜湯はもともと血が少ないあるいは血の働きが悪い血虚の人が強い寒冷にあたり手足の血流が極端に減少し痛みなどを生じた時に使うお薬です。一番良く使われるのは‘しもやけ’の時です。
冷え、冷え性は気の働き、陽気の減弱から起こります。通常の冷え性は補気補陽が治療の中心になります。単に冷え性である場合は当帰四逆加呉茱萸生姜湯ではなく、他のお薬を使います。
しもやけが出来やすい方は、本格的に寒くなる前に当帰四逆加呉茱萸生姜湯を飲み始めると、しもやけが出来ずにすみますので試してみてください。

※当帰四逆加呉茱萸生姜湯は寒虚証用の方剤です

2013年10月15日火曜日

暑い風邪に銀翹散

今回は風邪の薬“銀翹散(ぎんぎょうさん)”です。
最近は銀翹散もOTC薬として店頭にも並び、風邪の時に勧められることがあるようです。ただ必ずしも適した症状で使われていないケースが有るようです。
いつものように効能効果を見てみると‘かぜによるのどの痛み・口(のど)の渇き・せき・頭痛とあります。単純明快でほぼ間違いはありません。210処方外の承認だけあります。
この症状すべてが当てはまっていれば8割型は銀翹散が適しているはずです。風邪で、のどが痛くて、のどが渇いて、せき、頭痛もある。この中で最も大事な症状は喉の渇きです。この症状の中で喉の渇きだけが風邪の症状ではありません。銀翹散を飲むと良いよと言っている症状です。


治病求本でも触れていますが風邪には寒い風邪と暑い風邪があります。寒気がしてガタガタ震えるような風邪は主に冬にかかる寒い風邪です。対して暑い風邪は、温病(うんびょう)と言い、寒気はなく体のほてり・熱感が強く・喉や口が乾くといった熱証の風邪で真冬は少なく、春先に多い風邪です。この処方の構成生薬のほとんどは体を冷やす働きをします。寒い風邪は体を温める漢方薬で治します。暑い風邪は体を冷やす漢方薬で治ります。道理かと思います。喉の渇きが暑い風邪の目印になります。できれば体のほてり・熱感といった言葉も効能効果に入れておいてくれればよかったのですが...
まとめると銀翹散は、寒気はなく体のほてり・熱感があり、のどが渇き、のどの痛み・せき・頭痛などの症状がある風邪に効きます。


2013年10月6日日曜日

風邪薬としての柴胡桂枝湯

今回は柴胡桂枝湯です。
風邪から胃腸炎・胃潰瘍・胆石や神経痛などいろいろな疾患に使うことが出来ますが、今回は風邪に関しての解説です。
ここではあくまでOTC薬(一般販売医薬品)を正しく使っていただくことを目的に書いていますので、いつもの様にOTCの効能効果を見てみます。
“体力中等度又はやや虚弱で、多くは腹痛を伴い、ときに微熱・寒気・頭痛・はきけなどのあるものの次の諸症:胃腸炎、かぜの中期から後期の症状”とあります。
体力中等度ってなんでしょうね?客観的に体力を知ろうとしたら体力検査しないといけませんね。漢方薬で体力云々、特に体力がありとか体力中等度は無視してください。元気だということですから病気じゃありません。
体力には通常の状態と低下している時しかありません。柴胡桂枝湯の場合は体力が低下している状態が正解です。
それからダメ出しついでに“風邪の後期の症状”って何でしょ?
後期ってことはもう治るっていうことかと思うんですが、それなら薬はいらないでしょ!
おそらくこうした表現というのは殆ど治療経験のない者が古典の文書を解釈して作ったものと思われます。もともと漢方の古典というのは限られた場面での短い記述しかしていませんので、それをもとに正しく理解してもらえる表現は不可能です。
それにいきなり胃腸症状から始まる風邪もありますので、風邪の初期から柴胡桂枝湯が向いている場合も多いです。



つぎに“多くは腹痛を伴い”とありますが、胃痛を含めて腹痛がなくて“微熱・寒気・頭痛・はきけ”であれば小柴胡湯を使います。そのほうが構成生薬が少ないので早く良く効きます。よく柴胡桂枝湯は小柴胡湯と同じく風邪に使う桂枝湯を足したものだという説明をしているところがありますが、そうではありません。柴胡桂枝湯は小柴胡湯に桂皮と芍薬を加えた方剤です。つまり小柴胡湯の対象で痛み症状がある場合に使います。
もう一点は“微熱・寒気”とあります。発熱・悪寒がもともとの古典の表現です。悪寒は寒気と全く同じ意味です。発熱は体温計で測って熱があるということを指しているのではなく、漢方で発熱という場合は寒気の逆で、熱感、体のほてり・暑いと感じることです。
つまり発熱悪寒は暑かったり寒かったりするという意味です。
まとめてみますと柴胡桂枝湯の効能は“やや体力が消耗気味で疲れを感じだるく、体が熱くなったり寒くなったりし、頭痛や吐き気・胃痛または腹痛がある風邪・胃腸炎”ということになります。

2013年10月1日火曜日

漢方薬の風邪薬:麻黄附子細辛湯

今回は風邪の漢方薬麻黄附子細辛湯です。
早速、効果効能ですが“悪寒、微熱、低血圧で頭痛、めまいあり、四肢に疼痛、冷感あるもの。感冒、気管支炎、咳嗽”とあります。
悪寒、微熱、四肢に疼痛、冷感。ここが大事です!
このお薬は冷えによって引いた風邪、つまり寒い風邪、冬に多い風邪、寒証の風邪です。
悪寒・寒気が強いのが寒い風邪の特徴です。そして手足、節々の痛みもあります。
強い寒気と四肢の痛み、これだけだと葛根湯とどう違うの?
もっとも違うのが微熱。
葛根湯は急激に上がっていく熱、あるいはすでに高くなってしまった発熱に使います。言い換えると高熱が出せるほど元気な人に使うのが葛根湯なのです。
一方、麻黄附子細辛湯は、もともと体の深部が冷えている人が、更に寒い風邪を引いてしまった場合です。
悪寒はひどいけど高熱にはならない。ここが使い分けのポイントです。
もともと何処が冷えているかというと、腎ですね。腎陽虚、平たく言えば老人に多い状態です。めまいも腎虚の特徴です。低血圧は意味不明です。



まとめると、普段から冷えているお年寄り、またはお年寄りのよう冷えてる人が寒さにあたって風邪を引き、ひどい寒気のわりには熱はそれほど上がらず、手足が冷え痛んで、咳も出たりする。そんなときに麻黄附子細辛湯を飲むと良くなります。
それから麻黄附子細辛湯は喉の痛みにも効果があります。ただ、この場合は必ずお湯に溶かしてゆっくり飲んでください。細辛の麻酔作用が喉の痛みを止めてくれます。

2013年9月25日水曜日

女神散:喜谷實母散

今回は女神散(にょしんさん)です。医療用では時々使われますがOTCでは女神散の名前での販売はされていないかと思います。
ですが、喜谷實母散(きたにじつぼさん)の名で古くから振り出し、煎じ薬として販売されています。
効能効果は“更年期障害、血の道症、月経不順、冷え症およびそれらに随伴する次の諸症状: 月経痛、腰痛、頭痛、のぼせ、肩こり、めまい、動悸、息切れ、手足のしびれ、こしけ、血色不良、便秘、むくみ”となっています。
だいたいこの通りに思ってもらって良いんですが、冷え性は前提にはならないですね。
あくまで肝虚から来るのぼせ、熱症状の相反として感じる足の冷えがある程度です。



この薬の効果はイライラ・のぼせ体質の方の不定愁訴の解消です。
漢方的に言えば。肝気鬱結か肝陽上亢といった状態ですが、
精神ストレス、女性特有のストレスでイライラ・のぼせ体質に陥った人の生理痛やら頭痛・めまい・動悸などに効果があります。

このお薬は飲み方が特殊なので、用法をよく読んでください。
振り出しだけで飲んでる方も見受けますが、効果も薄いですから、
必ず煎じて(煮出して)飲んでください。
1回目から煎じて飲んでも良いです。
その場合は、1回めの煎じ液を夜飲んで、
煎じかすを翌朝もう一度煎じて飲めばよいです。

2013年9月16日月曜日

猪苓湯:膀胱炎の漢方薬

今回は猪苓湯(ちょれいとう)です。
いつものように効能を見てみると“体力に関わらず使用でき、排尿異常があり、ときに口が渇くものの次の諸症:排尿困難、排尿痛、残尿感、頻尿、むくみ”とあります。
それほど使い方が難しいお薬ではないのでこれで良いのかもしれませんが、“体力に関わらず使用でき”この前置きは意味ないでしょ!あえて言うなら極端に体力が落ちている人には使えません。
猪苓湯は(チョレイ・ブクリョウ・タクシャ・アキョウ・カッセキ)の5種類の生薬で出来ています。このうちアキョウ以外は全て水を出す、尿を出す働きをします。アキョウには止血の効果があります。
つまり簡単に言ってしまえば、尿が出づらくなっている時、あるいは尿を出さなければならないときで、血尿を伴っていても大丈夫と言うことです。
まさに膀胱炎の症状です。尿が出づらかったり、すぐにトイレに行きたくなったり、血尿もあったりと言った症状です。
膀胱炎かなと思ったら、極端な体力低下がない、強い冷えを感じていない限りは試してみて下さい。
一点だけ注意は、カッセキを配合していますので長期連用はしません。予防にと思って続けてしまうと腎臓を傷めることがあります。急性膀胱炎に1週間程度をめどに使うお薬だと思って下さい。

2013年9月8日日曜日

耳鳴丸=名前のとおりです!

今回は耳鳴丸(じめいがん)です。
名前の通り耳鳴りのお薬です。
効能も“貧血性の耳鳴、腰痛、四肢及び腰の脱力感”と簡潔な書き方ですが、
漢方・中医学の臓腑弁証で言う肝腎陰虚という状態で用いるお薬です。
肝腎陰虚とは、五臓のうち肝と呼ばれるところと腎と呼ばれるところが衰弱している状態のことで、原因としては加齢やストレスということになるでしょう。
肝腎陰虚になると、口や喉の渇き・身体の熱感・ほてり・のぼせなどを感じるようになり、さらに足腰のだるさや無力感・手足のほてり・ふらつきなども感じるようになります。

耳鳴丸はこうした状態の人に起きた耳鳴りに効果があります。
OTCの効能書きそのままだと貧血の人の耳鳴り、腰痛、足腰の脱力のための薬になってしまいます。
貧血は必須の条件ではないですし、腰痛・四肢及び腰の脱力感を治すのであれば他の薬のほうが良いでしょうね。
“腰痛・四肢及び腰の脱力感があり口や喉の渇き・身体の熱感・ほてり・のぼせなどを伴うの耳鳴り”というのが正しい効能でしょう。
ちなみに販売しているのは松浦漢方株式会社だけのようです。


2013年9月3日火曜日

ドキドキに柴胡加竜骨牡蛎湯

今回は柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)です。
メンタル系の症状によく使われる処方ですが、もともとは風邪や伝染性の発熱性疾患の治療を誤り長引かせ自律神経に異常をきたしたような症状に使われていました。
現在では不眠は情緒不安などに用いることがほとんどです。
いつものように効能を見てみると“体力中等度以上で、精神不安があって、動悸、不眠、便秘などを伴う次の諸症:高血圧の随伴症状(動悸、不安、不眠)、神経症、更年期神経症、小児夜泣き、便秘”
体力中等度ですか・・・例によって意味不明どころか虚証用の方剤ですから体力低下あるいは消耗状態に使います。
効能にある病名、症状は大体これで良いんですが、便秘を目的に使うことはないでしょう。高血圧である必要もないです。
“精神不安・動悸・不眠・神経症・更年期障害・小児夜泣き”ってところで良いでしょう。


体質的な前提を加えると、
熱虚証用の方剤ですので、「喉の渇き、ほてり、のぼせなどを感じることがあり、暑がりで食欲はあり、どちらかと言うと便秘がちでイライラしやすく気が散りやすい人の不安・不眠・動悸・神経症・更年期障害・自律神経失調症」ということになります。
竜骨と牡蛎は、重鎮安神薬と言われ、気持ちを落ち着かせる働きがあります。
落ち着かせると言ってもお酒や精神安定剤のように意識レベルを落とすということではありません。
ちょうど散らかっている部屋を片付けるようなもので、あちこちにあるものを一箇所にまとめる。あるべきところに戻すという感じです。
あれやこれや余計なことに気が散ったり、つぎつぎ色んな事が頭に浮かんで落ち着かないといった状態のときに、気持ちを一つにまとめてくれる働きです
いろいろ考えてしまって眠れない等という時もこれに当たるでしょう。
飲んではいけないのは、寒証の人です。
冷えを感じたり寒がりの人は飲まないでください。具合悪くなります。
それから何年間も続けて飲む処方ではありません。
数週間か数ヶ月で改善されるはずです。それで効かなければ他の処方を考えましょう。
また、あっているからと言って漫然と続けないようにしてください。

2013年8月25日日曜日

婦人科疾患の基本は四物湯

今回は四物湯(しもつとう)です。
いつものようにOTC薬の効能を見てみると
“体力虚弱で、冷え性で皮膚が乾燥、色つやの悪い体質で胃腸障害のないものの次の諸症:月経不順、月経異常、更年期障害、血の道症、冷え症、しもやけ、しみ、貧血、産後あるいは流産後の疲労回復”とあります。
ほぼその通りです。ですが、実際にこうした症状に四物湯を用いてもそれほど効かないというか、多くの場合、時間の無駄です。
四物湯が悪いんではなくて、四物湯は素晴らしい処方です。
ただ、これは始まりなんです。土台なんですね!


四物湯がしているのは“血を増やす”、それも肝血という非常に大事な血を増やすことだけです。肝血の不足で起きる症状は効能のとおりです。付け足すなら眼のかすみ・乾燥、めまい・ふらつきや、脱毛などです。
四物湯で原因・本質は改善されます。
しかし、症状の直接的な改善ができないので、
目的に合わせて四物湯+〇〇湯という形で用いると良いです。
例えば生理不順で、遅れがちということであれば四物湯と補気・補陽作用のある人参湯や吐き気など胃腸症状を伴えば六君子湯を用いたり。
逆に経血量が少なく生理が早まるのであれば、気の巡りを良くしてイライラをなくす抑肝散を一緒に用いたりします。
この辺りはなかなか一般の方が判断するのは難しいかと思いますので、店頭やネットで専門家に相談すると良いでしょう。

2013年7月29日月曜日

不安で眠れないなら天王補心丸(正式名:天王補心丹)

天王補心丸(てんのうほしんがん)、正式な処方名は天王補心丹(てんのうほしんたん)です。
国内で2、3社が販売していますが、天王補心丸の名前で販売しています。
効能効果には“体質虚弱な人の次の症状:不眠、不安感、肩こり、息切れ、動悸、口渇、便秘”とあります。
だいたい合っていますが、これでは何の薬か分かりにくいかもしれません。
簡単に言うと不安や焦燥感があり動悸もしやすい人の睡眠障害のお薬です。
そして、陰虚という体の偏りが根本にありますので、手や足が火照ったり、のどが渇いたり、寝汗をかきやすかったりします。
陰虚の中でも心陰虚という状態で、五臓の中の心(しん)が消耗・衰弱している事によって症状が起きています。

心陰虚の原因はストレスであったり生活習慣であったり、慢性的な病気だったりします。
心と心陰虚については別サイトでも解説しています。
  ・心の働き
  ・心血虚と心陰虚
天王補心丸が向いている不眠は、
寝付きが悪い・眠りが浅い・よく目が覚める・夢が多いと言ったタイプですので、
深い睡眠がなく、一晩中眠っているのか眠っていないのか分からないような不眠です。
天王補心丸のような滋養安神剤は、衰弱した心を滋養して、陰陽バランス(自律神経のバランスといっても良いかもしれません)を整えて精神を落ち着かせ眠れるようにしてくれます。
一時的ではなく、長期間続いている不眠に向いているでしょう。


2013年7月23日火曜日

熱中症の漢方薬:生脈散

今年は梅雨明けが早く、連日の猛暑が続いています。
この季節、特に心配なのが熱中症ですね。
熱中症は体内の熱がこもってしまい、身体の調整機能が失調することによって起きます。
この季節の不要な体内の熱は汗によって体の外へ放出されます。
この時重要なのは、水です。
漢方では人間の体内にある水を二つに分けて考えます。
一つは津(しん)、体にとって必要な大切な水です。
もう一つは液(えき)、これは基本的には不要になった排出される水。
あるいは体内で悪さをしている水(水毒)です。
汗は基本的には液です。
ところが、あまりに暑いと捨てるべき液が不足し、津までが排出されてしまいます。
傷津あるいは津液不足という状態です。


この時、単に水分を補給すれば良いというわけではありません。
むやみに水分補給すれば液ばかりが増えてしまい、相対的に津が不足してしまうことで不調になることもあります。
不要な液を増やすことなく津を増やす事が大切です。津を増やす事を生津と言います。
この生津を目的とした漢方処方が生脈散、あるいは生脈宝と呼ばれる薬です。
熱中症を気にして必要以上に水分を摂ると食欲がなくなり、かえって夏バテになります。
暑い場所での作業、スポーツをする人や、熱中症を心配する人は水分補給と一緒に生脈散を飲まれると良いでしょう。

2013年7月16日火曜日

抑肝散:もともとは子供の薬だよ

抑肝散(よっかんさん)です。
一般薬(OTC」の効能を見ると、
虚弱な体質で神経がたかぶるものの次の諸症:神経症、不眠症、小児夜なき、小児疳症
これは特に気になるところはないです。
この通りというか、これ以外の使われ方をしていることのほうが気になります。
まず、抑肝散を用いる状態は肝陰虚という状態です。
肝は精神的な問題を処理しているところと考えています。
陰虚ですから、肝の働きよりも肝そのものが衰弱している状態を指します。
“口や喉の渇き・身体の熱感・ほてり・のぼせ・ねあせ”と言ったことが特徴です。
つまり、まったく冷えていない、冷えを感じない体質であることが重要です。

肝が弱っているために、相対的にイライラしたり、落ち着かないといったことが起きます。
まだ身体が完成していない子供では、肝も未熟です。
そのために疳の虫、夜泣きといったことが起こります。
本来はそのためのお薬でした。
ですが、肝陰虚の状態であれば大人でも、イライラや不眠に効果があります。
まとめると、“抑肝散が向いているのは、全く冷えを感じない、冷え性ではない人で、
不眠症でも寝てしまえば途中で起きることはあまりなく、
疲れやすく虚弱な方だけど、足腰がだるいといったことはない。
イライラ感も周りに当たるような激しいものではない。”
こんなところでしょうか。
それから、抑肝散加陳皮半夏(よっかんさんかちんぴはんげ)と言う処方がありますが、抑肝散に小半夏湯を足したものです。吐き気や胃の不快感を伴う場合に使います。
そうでなければ、基本的に構成生薬が少ないほうが良く効きますので抑肝散を求めたほうが良いでしょう。
それから、アルツハイマー症に良いと時折話題になりますが、漢方的、中医学的に根拠は見いだせません。このことはまた別のところに書きます。

2013年7月2日火曜日

何かと誤解の多い“防風通聖散”

お待たせしました今回は防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)です。
おそらくOTCの漢方薬では一、二を争う売上を誇ってきたと思われる処方です。
誤った使われ方も非常に多い処方です。
メタボの薬という捉え方は間違っていません。ただ、メタボなら誰でもという訳でもありません。
某メーカーの責任が大きいと思いますが、この薬は便秘薬ではありません。市場の大きい便秘薬であるかのようなイメージで宣伝されていたのは驚きでした。
便秘薬として漫然と続けている人がいたら即座にやめてください。どなたでも長期間の服用に耐えられる薬ではありません。
さて、効能ですが、
“体力充実して、腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちなものの次の諸症:高血圧や肥満に伴う動悸・肩こり・のぼせ・むくみ・便秘、蓄膿症(副鼻腔炎)、湿疹・皮膚炎、ふきでもの(にきび)、肥満症”
例によってまた体力・・・から始まっています。
体力が充実していれば結構なことです。
まぁ今回は大目に見て、疲れやすいとか、弱っているという事がないということで理解してあげましょう。
太っていること以外は特に異常を感じていなくていいです。
下痢症の人でなければ構いません。
食欲だけは異常にあるはずです。
平たく言えば元気なおデブさんを痩せやすくしてくれるお薬です。
高血圧や肥満に伴う・・・・・・便秘、は無視していいですね。動悸がするほどの高血圧、肥満だったら病院行ってください!

太るか痩せるかは、食べた量と運動量(代謝)のバランスです。
食べる量を減らすことは何より重要です。
しかし、人一倍食欲のあるこのタイプの人達が食べる量を減らすのは大変です。
同時にエネルギーを消費することも考えたほうがいいでしょう。
ここで、脂肪とは何かということです。
化学のお好きな方なら脂肪を燃やせば何になるかはご存知かと思います。
脂肪は炭素(C)と水素(H)と酸素が少々でできています。
脂肪が燃えるということは、
C-H+O=CO2、H2O
二酸化炭素と水になるということです。


食欲が減り、脂肪の燃焼が早まれば痩せます。
防風通聖散が行なっているのはまさにここのところです。
食欲旺盛な過剰な胃腸の働きを、冷やすことで抑えます。
(食欲が無い人が防風通聖散を飲むと胃腸を壊します)
脂肪の燃焼を助けるために二酸化炭素と水の排泄を助けます。
そのために汗をかきやすくし、尿を出しやすくします。

まとめると防風通聖散には、食欲が旺盛で、余り運動しないで太ってしまっている元気な人の、
胃腸を冷やして食欲をなくし、脂肪代謝によって生じる二酸化炭素と水の排泄をスムーズにする働きがあります。




2013年6月25日火曜日

半夏厚朴湯:もともとは咳の薬だけどね

今回は半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)です。

いつものようにOTC薬の効果・効能をみてみると、
“体力中等度をめやすとして、気分がふさいで、咽喉・食道部に異物感があり、ときに動悸、めまい、嘔気などを伴う次の諸症:不安神経症、神経性胃炎、つわり、せき、しわがれ声、のどのつかえ感”とあります。
例によって体力検査は必要ありません。と言うよりこの処方の場合は、余り気にしないで良いです。
虚証向けではありますが、短期間であれば実証の人が飲んでも大丈夫ですし、効果もあるはずです。


この薬の効果を一言で言えば、“詰まっているものを下へ降ろす”ことです。
詰まっているのは“気”の流れであり、気の滞りで生じた痰湿の逆行です。
気の流れがスムーズであることで、精神も安定します。
半夏厚朴湯は、喉から胸のあたりの気の流れをスムーズにしてくれます。
不安感やうつ的な症状をスッキリさせてくれます。
また実際には何もないのに、喉に詰まった感じ、異物感がいつまでもあるといった症状(梅核気)も神経性の症状であり、半夏厚朴湯で気の流れを正すことで治ります。効果も早いです。
気管支炎や喘息の薬としても効果があります。
軽い咳や痰が続く場合に向いています。


基本的には効能・効果に書かれている通りの使い方で良いのですが、
一点だけ重要な問題があります。
吐き気や嘔吐にも効果はあります。
ですが、つわりには使いません。
厳密に言うと妊婦及び妊娠の可能性のある人には使えません。
この処方は下へ降ろす効果を持つ薬です。
主に含まれている厚朴の影響ですが、強くはありませんが堕胎作用、または妊娠しづらくする作用があります。
このことは医療用も含めて添付文書に記載されていません。
女性の方が服用する場合は注意してください。

2013年6月18日火曜日

とりあえず偏頭痛には呉茱萸湯

呉茱萸湯(ごしゅゆとう)です。
OTC薬の効能は
“みぞおちが膨満して手足が冷えるものの次の諸症:頭痛、頭痛に伴うはきけ、しゃっくり”
とあり、かなりあっさりしています。間違いはありません。
ただ、どこが冷えているかが重要です。
手足の冷えって・・・
確かに手足も冷えるでしょうけど、
呉茱萸湯の一番の目標になるのは“胃の冷え”です。
胃寒です。
呉茱萸湯は胃寒を治す薬です。
胃が冷えると何が起きるか、
まず、人間どこの部位も冷えていると動かない。
胃が冷えていれば、食欲が無くなる、胃が動かないから食べたものが消化されないので胃が痞える、張る、そして吐き気がする。*冷えているので食べてすぐ吐くことはない
こうした症状が起きます。
同じ人参湯からの派生方剤でも六君子湯なんかよりも、もう一段胃が冷えています。




胃の冷えを人為的に起こすことができます。 
かき氷や、アイスなど冷たいものを一気に食べると、キーンと頭が痛くなります。
呉茱萸湯が効く頭痛はこれが、慢性的、体質的に起きたものです。

偏頭痛は頭部の血管が拡がることによっておきます。
胃が冷えると脳を守ろうとして頭部へ向かう血流量を増やそうとする反射が人体にはあるのかもしれません。
経験的にも、呉茱萸湯が効く頭痛は緊張型ではなく偏頭痛ですね。
普通の鎮痛剤が効かない、偏頭痛と思われる頭痛を起こす方は、
呉茱萸湯を試してみると良いでしょう。
比較的効きは早いかな・・・
それから。。。味は最悪ですw


秀峰堂中医学研究所

2013年6月2日日曜日

あれこれ思って落ち着かないなら桂枝加竜骨牡蛎湯

今回は桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)です。
いつものように効能書きをみてみると、“体力中等度以下で、疲れやすく、神経過敏で、興奮しやすいものの次の諸症:神経質、不眠症、小児夜泣き、夜尿症、眼精疲労、神経症”
また体力中等度などという客観的には捉えようのない表現が使われています。早く改善してほしいものです。
虚証用の方剤でもあり、虚弱な人にしかむかない処方です。元気で活動的な人が眠れないとしても効きません。
処方名からも判るように桂枝湯(正確には桂枝加芍薬湯)に竜骨と牡蛎を加えた方剤です。
残念ながら竜は実在しませんので、竜骨は竜の骨ではなく牛や鹿などの哺乳動物の骨の化石です。牡蛎は、そのまま牡蠣(かき)の貝殻です。
カルシウムの鎮静作用は広く知られていますが、竜骨と牡蛎は重鎮安神薬と呼ばれ、精神を鎮め安んじる働きを持ちます。
しかし、精神安定剤のようにボンヤリさせ眠くさせるのとは違います。
イメージとしては、あちこちに散らばっているものを一箇所にまとめる働き、
あれこれと思い、いろいろなことを考えてしまい集中できないでいる状態を、その時にあるべき状態に精神をまとめてくれる働きをします。
眠れないという状態は、あれこれと頭に浮かび眠ることに集中できない状態です。
あれこれ気が散って落ち着かない状態もそうです。

まとめてみますと、桂枝加竜骨牡蛎湯は虚弱で疲れやすい寒がりな人の、あれこれ考えて落ち着かず、ちょっとイライラしたりビクビクしてしまう時や、いろんなことが頭に浮かび眠ることができないといった症状を改善してくれます。


秀峰堂中医学研究所

2013年5月15日水曜日

痒くなる季節だけど・・・人には言えない

暑い季節になると、痒い!
でも、人前では絶対に掻けない...
そんな男性の悩みに・・・

不養湯(ふようとう)という珍しい漢方薬があります。
建林松鶴堂(たてばやししょうかくどう)という東京上野の老舗漢方メーカーのオリジナル処方です。


効能は陰部湿疹のみです。
陰部湿疹は別名いんきん(インキン)、
いんきんたむし(インキンタムシ)は別物ですのでご注意ください!
陰部湿疹いんきんは名前の通り湿疹ですので、赤いぶつぶつが出来たり、一様に赤く痒いです。
陰嚢にもできます。
インキンタムシは水虫の原因である白癬菌が関係しています。
陰嚢にはできず、太ももの側へ丸く輪郭を描くように広がっていきます。
抗白癬菌薬の外用が必要になります。

皮膚病の漢方薬は発散剤と炎症を鎮める作用を持つ生薬を中心に作られます。
不養湯もそうです。そこに薬効が股間に集中するように工夫されています。
それから不養湯は煎じ薬になっています。
煮だして飲む本来の漢方薬の形です。
パッケージのままでも結構臭います。

これからの季節、お困りの方は試してみてください。

建林松鶴堂不養湯

2013年4月29日月曜日

急な下痢を繰り返す!そんな人に桂枝加芍薬湯

今回は桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)です。
一言で言えばお腹の漢方薬の代表です。
OTC薬(一般販売医薬品)の効能は“体力中等度以下で、腹部膨満感のあるものの次の諸症:しぶり腹、腹痛、下痢、便秘”となっています。
例によって体力中等度は意味不明です。
虚証用の方剤ですので、虚弱気味であり体力という表現を使うなら、体力が不足がちと言うべきでしょう。
芍薬が主剤の一つですから、腹痛にはよく効きます。
便秘よりは下痢に効きます。
ただし、ストレスからくる痙攣性の便秘には効果があります。
いわゆる過敏性大腸炎に第一選択としてつかう処方です。
過敏性大腸炎は、ストレスや緊張によって下痢や便秘を起こす病気で、
電車に乗るとトイレに行きたくなるとか、会議前になるとお腹が痛くなるといったことが習慣的に起きます。
大腸の急な緊張・痙攣による症状です。
桂枝加芍薬湯はこの症状を軽減してくれます。
メンタルな要素が大きい病気ですので、症状が起きない状態が続くことで良くなっていきます。
一度試して調子が良ければ、暫く続けることで完治も可能です。
下痢がひどい場合は朝鮮人参末や人参茶を併用すると良いです。
便秘だけの人は小建中湯のほうが良いでしょうね。

2013年4月14日日曜日

膀胱炎を頻繁に繰り返すようなら:清心蓮子飲(せいしんれんしいん)

今回は慢性膀胱炎・神経性膀胱炎についてです。
年に何度も繰り返す膀胱炎のような、トイレに頻繁に行きたくなる・尿が出にくかったり不快な症状を感じ、しかも膀胱炎と違い膀胱での雑菌の繁殖がない状態です。
膀胱炎は比較的ポピュラーな病気で、特に女性には多い病気です。
通常の膀胱炎は、膀胱内に入った菌のために炎症を起こし、頻尿や尿の出にくさ、ひどい場合は痛みや血尿を伴います。
ただ、毎年のようにかかることは希です。
年に何度も膀胱炎症状を感じる人は神経性膀胱炎を疑った方が良いでしょう。
菌がいないので抗生物質を飲んでも効果はありません。
神経の集中するデリケートな場所ですので、
ひどい膀胱炎を経験した人は、その後も気になってしまうために神経枝膀胱炎になりやすいです。
また、体質的には体が弱っていて疲れやすいのに無理をしがちな人が多いです。
気持ちと体のバランスが崩れている状態がベースにあります。
ストレスに対する体制が落ちているのも重要な要素です。
運動会の徒競走で順番が近くなるとトイレに行きたくなるのと似たような現象かもしれません。
こうした状態、症状には清心蓮子飲(せいしんれんしいん)という漢方薬がよく効きます。
OTC(一般薬)で販売しているメーカーは少ないのですが、
建林松鶴堂の清澄(せいちょう)という漢方薬が清心蓮子飲でお薦めです。

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2013年4月7日日曜日

イライラカッカに黄連解毒湯

黄連解毒湯(おうれんげどくとう)ですが、
この漢方薬は病気を治すと言うよりは一時的に症状、現象を改善するものだと言えます。
単純な処方ですので、効き目は早いです。
そのかわりあくまで対症療法だと言うことです。
OTCエキス剤の効能は
“体力中等度以上で、のぼせぎみで顔色赤く、いらいらして落ち着かない傾向のあるものの次の諸症:鼻出血、不眠症、神経症、胃炎、二日酔、血の道症、めまい、動悸、更年期障害、湿疹・皮膚炎、皮膚のかゆみ、口内炎”とあります。
例によって体力測定は必要ありません。
ただ、黄連解毒湯は実熱(積極的に冷やすべき熱)をとる薬ですので、体が衰弱して、発熱したり、暑がって喉の渇きを訴えるような場合は使えません。

とにかく体に余分な強い熱が発生しているのを冷ます薬です。
その熱も頭へ向かって上がってくる熱です。
イライラして頭がカッカしているのが典型的な状態です。
単純に腹の立つことがあってイライラ頭に血が上っている状態にも効果はありますが、
効能に書かれている後半部分は原因と結果が入り乱れているようです。
イライラカッカとのぼせるので鼻血が出たり、不眠症になっている。
また、のぼせているので動悸やめまいがする。
そして、胃炎、二日酔い、血の道症は原因であって、このためにイライラのぼせているのです。
*胃炎・二日酔いは胃が冷えていることもありますが、この場合は胃熱・肝熱が上逆してくる状態です。胃炎では食欲の過剰亢進があり、この二日酔いは強い酒を飲んで、まだ酔っ払っているような二日酔いです。

意外とよく効くのが皮膚の症状です。
基本的には頭、顔を中心に上半身だけの赤みの強い湿疹・皮膚炎で、痒みを抑えてくれます。

積極的に熱を冷ますお薬ですので、食欲のない人、寒がりの人は飲まないで下さい。



2013年4月2日火曜日

酸棗仁湯:心が疲れて眠れないのなら

今回は酸棗仁湯(さんそうにんとう)です。
不眠症によく使われる漢方薬です。
OTCエキス剤の効能書きは大体こんな感じです
“体力中等度以下で,心身が疲れ,精神不安,不眠などがあるものの次の諸症:不眠症,神経症”
ほぼこの通りで良いでしょう。
心身の衰弱によって起きた不眠ですから、どちらかと言えば普段から体の弱い神経質な人に向いています。
心配事や考え事が多いと陰血、肝血という体を滋養する栄養分のようなものが減っていくと漢方では考えています。
心身が潤っていない状態になると考えても良いかもしれません。
酸棗仁湯は、そんな背景のある不眠症に効果があります。
具体的には口や喉が渇きやすかったり、めまい・頭のふらつき、動悸がしたり、イライラとじっとしていられなかったりと言った状態になります。

いろいろ悩みが多くて眠れない方にはお薦めな漢方薬です。
ただし、下痢・軟便が顕著な人は飲まないで下さい。

2013年3月31日日曜日

茵陳蒿湯

今回は茵陳蒿湯(いんちんこうとう)です。
清熱剤だけで出来た単純な処方ですので、
いろいろ応用的に使う事も出来るのですが、
一般の方がご自身の判断で飲む場合(いわゆるセルフメディケーション)で考えると、
蕁麻疹の薬と言うべきでしょう。
OTCの茵陳蒿湯エキス剤の効能には
“口渇があり、尿量少なく、便秘するものの次の諸症:じんましん、口内炎”とあります。
だいたい良いんですが、実熱(冷やすべき熱)を取るための漢方薬ですから、
口渇とともに、食欲があり暑がりでもあり、尿量が少ないよりも尿が濃い色になります。
必ず便秘でなくてはなりません。下痢、下痢がちの人は飲んではいけません。
簡単にまとめてしまうと、暑がりの人の蕁麻疹を治す薬と言うことになります。
急性・慢性問わず蕁麻疹に使えますが、長期の服用は注意して下さい。


治病求本

2013年3月24日日曜日

温清飲:治りにくい湿疹に

このブログは漢方エキス剤の正しい使い方を紹介しています。
今回は温清飲(うんせいいん)です。

またいつものように商品パッケージ、注意書きの効能から見てみましょう。
“体力中等度で、皮膚はかさかさして色つやが悪く、のぼせるものの次の諸症:月経不順、月経困難、血の道症、更年期障害、神経症、湿疹・皮膚炎”
また例によって体力中等度?
体力測定している場合じゃないです。

この温清飲は大きく分けると、血を作る成分と熱を取る成分の二つで出来ています。
皮膚がカサカサ・色つやが悪い、これは漢方で言う“血虚”、つまり血が量的に質的に少ない事による症状です。のぼせる。余分な熱、不要な熱がある状態です。
この余分な熱には、積極的に冷やして良い場合とそうでない場合があります。
積極的に冷やしてはいけない熱は、身体の消耗がひどく心身のバランスが崩れているような場合です。
温清飲は積極的に冷やす薬ですので、あまり身体が弱っている人は飲めません
熱というのは言い換えれば炎症と捉えられます。

まとめてしまうと、温清飲は血液に不足、貧血が根本にあって、炎症性の症状が身体の表面あるいは上部に表れている症状を改善、治療してくれます。
効能に“月経不順、月経困難、血の道症、更年期障害、神経症、湿疹・皮膚炎”とありますが、月経不順、月経困難、血の道症、更年期障害、神経症は温清飲がファーストチョイスになることは一般的にはあり得ません。

湿疹・皮膚炎の薬だと思って下さい。
皮膚の色悪い、あるいはカサカサとひび割れて血がにじむような、慢性、または慢性化しつつあるような湿疹の薬です。
アトピーのような場合にも向いている状態があります。

※飲んでいけないのは、寒がりの人、トイレが近い人、食欲がない人。このタイプの人は体調が悪くなるので飲まないで下さい。



治病求本

2013年3月12日火曜日

胃苓湯:吐き気のひどい胃腸炎、下痢の漢方薬

いつものようにパッケージの効能を見てみると
効能体力中等度で、水様性の下痢、嘔吐があり、口渇、尿量減少を伴うものの次の諸症:食あたり、暑気あたり、冷え腹、急性胃腸炎、腹痛

例によって体力中等度は意味不明
それ以外は効能どおり下痢のお薬です。
平胃散と五苓散の合方などと表現されていることが多いが、五苓散が基本骨格です。
五苓散厚朴、陳皮、甘草を加えたと説明すべきです。
つまり水分の取りすぎ、水分代謝が悪いことが原因で下痢、嘔吐の症状が出ている時に使います。
厚朴、陳皮が加わることで吐き気や嘔吐を抑える効果が増強されています。

まとめると、食べたり飲んだりすると、すぐに嘔吐あるいは吐き気が強まり水のような下痢を繰り返している状態で、口渇、尿量減少、むくみなどを伴っている状態に効きます。

ちょうど二日酔いやウイルス性の胃腸炎なんかもこんな状態でしょう。


2013年3月3日日曜日

胃の痛みにはまず安中散


漢方薬の胃腸薬としては一番有名かもしれません。
実際よく効くし、使いやすい処方だと思います。
ただ、誤った使い方を啓蒙しているメーカーが1社ありますけどね。

まずパッケージ、使用上の注意に書かれている効能には、
“体力中等度以下で、胃痛または腹痛があって、ときに胸やけ、げっぷ、食欲不振、はきけなどを伴う方の神経性胃炎、慢性胃炎に効果があります。”
半分ぐらい正しいです。
体力中等度?相変わらず意味不明です。
薬を飲む前に体力検査が必要なんでしょうか…

胃痛または腹痛、その通りです。安中散は胃痛のための薬です。
胃が冷えることによって起きた胃の痛みを治します。
散寒止痛という表現をします。
胃が冷えているのですから当然のこととして食欲はありません
食欲が亢進して胃が痛い場合は胃熱がありますので、安中散では逆効果です。安中散が適しているかどうか判断するポイントです。
胸やけ、ゲップ、はきけは食後ではなく、空腹になる頃に軽く感じるような程度のものに向いています。
神経性胃炎、慢性胃炎…神経性であるか、そうでないかは関係ないですね。あくまで胃が冷えているかどうかです。慢性胃炎といえる場合もあるとは思いますが、基本的には急性胃炎向きです。

まとめると、
食欲がなく強い胃痛があり、吐き気や胸やけがある場合は食後数時間してから起きる急性胃炎、慢性胃炎に効果があります。

P.S.飲む前に飲んでも効きません。

2013年2月19日火曜日

痔の特効薬 レンシン

これまで30年ほど、いろいろな薬と関わってきましたが、
ここまで効果を実感できた薬は他にはありません。
とにかく痔で悩んでいる方には試して欲しい薬です。


特に長年患っている内痔核、脱肛には飲むだけで良いというのは助かる人も多いはずです。
大切なのは1日2回飲むことだけです。
朝食前と就寝前の2回、ぬるま湯に溶いてかき混ぜながら飲むとよいです。
10年以上患っている場合でも、3ヶ月ほどで完全に良くなった方もいます。
作っているのは小さな製造メーカーです。
最近はレンシンのような良い薬を作れる製薬会社が減っているのが残念なことです。

2013年2月3日日曜日

痔の漢方薬 乙字湯

の漢方薬として店頭で売られているものの大半は乙字湯で出来ています。
商品名が違っても中身が乙字湯のものがありますので、
箱をひっくり返してみて下さい。
下痢がちの人でなければ、痔疾全般に使いやすいお薬です。
体力があって云々などという説明が書かれていたりしますが、
下痢がち、お腹が弱い人でない限り使えます。
あと寒がり、食欲がない人もやめて下さい。
ただ、そんなに効く薬ではないです。
手軽に色々な痔に使えると言うところが取り柄でしょう。

特に向いているのは、
柴胡。黄芩の清肝・清熱作用から、
お酒をよく飲むために肝臓に負担がかかっている人の内痔核です。
肝臓が弱っていると腸から肝臓へ向かう血流が悪くなるので、
内痔核(直腸の中の方のイボ痔)ができやすくなります。
出血にはあまり効果はないです。
お腹が丈夫でお酒が好きで暑がりのイボ痔の方にはお薦めです!


2013年1月22日火曜日

花粉症・アレルギー性鼻炎の漢方薬

今回は、花粉症・アレルギー性鼻炎の薬として、
ドラッグストアや薬局の店頭で見かける漢方薬についてです。 

良く扱われているのは
・小青竜湯
・葛根湯加川芎辛夷
・荊芥連翹湯
・辛夷清肺湯  
    などでしょうか、

すべて効くのは鼻の症状だけです。
目のかゆみ、涙目などには基本的に効きません。
  

・小青竜湯   

  細かなメカニズムは別の所で解説するとして、  
  この処方は、余分な、不要な水分が鼻からあふれ出るのを解消してくれるのです。  
  アレルギーと水分代謝が密接に関わる事があります。
 蕁麻疹なども同じように水分代謝の異常が関係していることがあります。  
 具体的に効く症状は、とにかく鼻水です。
 透明の鼻水がズルズルと、勝手に垂れてきたり、   
 どれだけティッシュがあっても足りない
 毎日1箱使ってしまうような、  
 そんなときによく効きます。  
 どちらかというと、花粉症の季節の前半の症状がひどい時期向けです。  
 あまり長期間飲むべき薬ではないので、
 ひどいときにだけ使うようにして欲しいです。  


・葛根湯加川芎辛夷 

これはあまり良い薬とは思えませんが、  
 風邪の初期に使う葛根湯に鼻の通りを良くするとされる
 川芎と辛夷を加えただけのものです。
 葛根湯の性質はそのままですので、前々回の葛根湯の投稿を参考にして下さい。
  花粉症と言うより風邪で鼻がつまっているとき向きでしょう。
 これも長く飲むべき薬ではないです。  

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・荊芥連翹湯   

慢性的な鼻炎・蓄膿症に使う処方です。  
 季節的な花粉症と言うより、通年性の慢性鼻炎に向いた処方です。  
 鼻づまり、色の濃いネバネバの鼻汁、場合によっては臭いがしたり。  
 この処方は一定期間続けていくことで、体質を改善していくことが出来ます。  

・辛夷清肺湯   

この処方も、鼻づまりが主で、粘りのある鼻汁の場合に使います。  
 季節的な鼻炎症状に向いています。  
 花粉症・アレルギー性鼻炎の本当の原因は脾や腎と言ったところにあります。
その辺を強化することで完治を目指すことが出来ます。
ただ、これは専門的な体質判断が必要になりますので、
信頼できそうな漢方薬局で相談するか、
 こちらでも相談をお受けします。      
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